このページは、タミヤT55Aの塗装のステップ・バイ・ステップです。
私が実際に行った塗装手順を順番に説明しています。
説明の至らないところも多いかと思います。不明な点がありましたら、お気軽に掲示板などを通じてご質問ください。

STEP1

いきなり、組立て完了!
今回のT55Aの製作目的は、純粋に塗装を楽しむことにあります。
従ってキットは完全に素組み。ガンバレルや後部の燃料ドラムなど目立つところのパーティングラインだけ処理して、あとは一切手を入れていません。バレルが白く見えるのは、パーティングラインがきちんと消えているか確認するためにサーフェイサーを吹いたためです。メタル製とかではないのであしからず。

素組みも楽しいものです。何のストレスもなく、あれよあれよ組み上がっていき、ちょっと疲れた頃にはもう完成。プラモデルって本来、こういうものではないのかという気さえしてきます。

このキットは旧ソ連、ポーランド、チェコ共和国の3カ国5種類のバリエーションを楽しめるようになっています。今回、私が選んだのはバリエーションB:ソビエト軍対空機銃装備型。これでいきます。素晴らしい出来のDhsk対空機関銃座を、ジャンクボックスに放り込みたくないですからね。

組みあがったら、さっそく塗装にかかります。

基本塗装
カーキドラブによる下地塗装

下地塗装は絶対に必要というわけではありません。
塗料の勿体無い方は、省いて結構だと思います。

私が下地塗装する理由は2つ。

1.積極的理由:最初に目の届く全ての箇所にしっかり影の色で塗りつぶしておき、続く全ての塗装がこれを最暗色としたグラデーションにする。

2.消極的理由:後半のステップで万一塗り忘れたところを見つけても、影の色で塗ってあれば、それなりに様になる。

この2点から、私はAFVを塗装する際には殆んどの場合、下塗り塗装をします。油絵の具のローアンバーに似ているカーキドラブは、この用途にたいへん適した色です。黒の方がもっと色としては暗いですが、黒は黒い箇所を塗るためにとっておきます。
グリーンの基本塗装 暗部色

ソ連軍戦車のグリーンはどんな緑色なのでしょうか?フラットグリーンに近い緑を使う方が多いようです。なるほどそういう風に見える写真もたくさんあります。

私が今回イメージするグリーンは、箱絵の戦車のグリーンです。これをめざして、オリーブドラブ、ダークグリーン、オリーブグリーン、カーキドラブ等を混色してバランスを見ます。順光の最もノーマルな環境での緑を調合し、全体に吹き付けますカーキドラブが下塗りしてあるので、あまりエアーの届かないところまでしつこく塗る必要はありません。
グリーンの基本塗装 明部色

フラットグリーンを加えて明度を上げ、薄く全体に吹き付けた後、さらに再度上面に吹き付けて、トーンをつけていきます。

この際、少量のクリアーも混ぜて、完全なつや消しにならないようにしています。
好みかもしれませんが、本物の戦車の塗装はかなりグロッシーです。また後のステップで、戦車に使用されている別の素材の部分(布やゴム)を塗装する際に、そこの質感を演出するため、つや消しを「取っておく」必要があるのです。
基本塗装が終了した状態。影が強く出てしまい写真がよくありませんが、全体(特に上面や砲身)に鈍いツヤがあります。

箱絵のT55はもっと明るい色ですが、3次元の模型をこれ以上明るくするには白を混色しなければなりません。しかし、それでは色が白っぽくなり、グリーンの彩度が失われます。

さらに明るい色はウェザリングの過程で加えられます。

デカールを貼って、次のステップに進みます。

フィルタリング
水彩画では色を余り重ねず、白い画用紙に薄めた淡い色の絵の具をさらっと塗って仕上げられます。色を塗り重ねたり混ぜ合わせたりすると、透明性が失われ色が濁ってしまうのです。

フィルタリングはこれに似ています。既に基本塗装の際に弱く明暗の付けられた車体に、透明さをもったフィルターをかけて、色に表情をつけていく・・・表情を持った部分をあちこちに作っていくといったほうがよいでしょうか。
青い影、赤い焼け、黄土色の退色など、グリーン1色の車体に、様々な表情をつけていくのです。

今回使用したフィルター用の色はオーソドックスな左の4色。油絵の具のバーントシェンナ、ローシェンナ、セルリアンブルー、それにパーマネントホワイトです。
今回は使いませんでしたが、パーマネントグリーンも下地のグリーンとの微妙な変化を見せるよいフィルターになります(この作品の後で使用して気に入りました、ぜひお試しください)。
筆でちょんちょんと油絵の具を車体に載せて、シンナーで湿らせた別の筆で伸ばします。シンナーは油絵の具用のペトロールか、エナメル用のうすめ液を使用します。

油絵の具は乾きが充分に遅いので、かなり広い部分にちょんちょんを載せてから、まとめて伸ばしても大丈夫。また私はいったん今回使用する4色全てのちょんちょんを載せてから、各色についてシンナーで伸ばしています。この方がバランスを見やすいのです。

余り厳密にこだわる必要はありませんが、一応、青は陰になる部分に多くおき、明るい所には控えめにします。逆にローシェンナは明るい部分はちょっと多め、白は扱いが難しいので上部の明るいところに極控えめに行った方がよい結果になるようです。バーントアンバーは明暗いずれでも違和感無く好ましいフィルターを見せてくれます。
フィルタリングを終えた状態。

ここで一休み。次のウォッシュではかなり溶剤を使用しますので、油絵の具のフィルターが流れ出さないよう完全に乾くまで(最低半日)、放置します。

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